【不動産屋目線】不動産購入のポイント!
公開日:2023年09月08日
不動産・住宅の購入を決めて物件探しをする中で、皆さんはどんな事をチェックしていますか?
間取り、部屋の広さ、購入価格、、、この辺りは当然一番に見ると思いますが、不動産売買には思わぬ落とし穴や想定外の事がたくさんあります。
全てはわからないし、そんなこと言ってたら怖くて購入できないよ・・・なんて諦めないでください。
本日は、物件を購入する際に気を付けるべきポイントを、不動産屋の目線から解説します!
【不動産屋目線】不動産購入の重要ポイント
不動産屋はお客様に物件をお勧めするとき、必ず契約前に「重要事項説明」を行います。
契約上お伝えしなければならない事はこの時全てを説明するのですが、”お客様のご希望に合った物件なのか”は重要事項説明だけではわかりません。
つまり、購入前にお客様自身でポイントを押さえて判断を行なうしかない事柄があり、それらは生活スタイルや金銭計画などに直結してくるものです。
それでは見ていきましょう。
売り出し価格だけでなく、「坪単価を見る!」
住宅購入にはどなたでも当然に「予算」があるとい思います。いくつかの物件で悩んだ時、物件自体の納得度と価格を比較して決める事になるでしょう。
でもちょっと待ってください!その物件、本当に迷った物件より安いですか?
築年数や土地の広さは同じ2つの中古物件で迷ったとします。
・A物件→ 建物:3000万円 建坪18坪/土地:2000万円 30坪
・B物件→ 建物:3200万円 建坪20坪/土地:2000万円 30坪
見た目の広さ・大きさはさして変わらず、B物件の方が200万円高いです。
・A物件は 建物:坪単価 166.7万円/土地:66.7万円
・B物件は 建物:坪単価 160万円/土地:66.7万円
坪単価とは、1坪あたりの価格のことです。
実はB物件が1坪あたり6.7万円も建物が安いですね。
これを見て、なぜA物件は高いのかがわかり納得できれば良いですが、実は建物性能や設備がBの方が良かったとしたら?
A物件を選ぶと損な気がしてしまいますよね。
厳密には土地の周辺相場なども加味して判断した方が良いですが、このように建物の坪単価を出しただけでも判断ポイントが明確になります。
土地・建物それぞれの価格が明確でない場合は、単純に「売り出し価格 ÷ 土地の広さ」でも良いので計算してみてください。
あまりにも坪単価の差が開くようでしたら、坪単価が高い方に決めると将来的に建物分を無駄に高く支払うことになる可能性があります。
と言うのも、土地価格は変動はあるにせよ「0ゼロ」になることはありません。しかし建物は償却期間中価値が0ゼロに近づいて行くため、年々価値は下がっていっているのに高い坪単価を払い続けることになるのです。
これでは売りたくなった時や建て替えの時に損が出てしまうでしょう。
「坪単価」。。。必ず計算した上で、他の条件も考慮して決断をしてくださいね。
将来の固定資産税地獄を避けよう「物件評価額を見る!」ー前編
固定資産税とは、所有している土地・家屋の評価額に基づいて課税される税金で、所有固定資産がある市町村に収めるものです。
事業主の場合は、事業を行うための機器・車両等も固定資産(不動産以外は「償却資産」と呼びます)として申告が必要です。
住宅を所有した経験がないと、購入時に固定資産税を先々の視野に入れることが抜けがちです。
固定資産税は大変重要で、住宅を無理なく維持し続けるために必ず金銭計画を立てるべきポイントです。
しかし大きな買い物であるため毎月支払う住宅ローン+金利はよく計画を立てても、年1回の固定資産税については頭になく納付通知書が届いて初めて実感し、支払いにあくせくする事はとても多い事例です。
固定資産税は、毎年1月1日に固定資産所有者として台帳に登録されている人が対象になります。
そして4月~6月に納付通知が届き、納付書または納付サイトで「一括」または「4期に分けて」納付します。
一般的に30~40坪の土地+家屋の固定資産税(10~20年程度の経年物件)は、地価変動や建物評価額によるためざっくりとしますが中古で10~20万円ほどが多いと思われます。
計算方法は「固定資産の評価額(課税標準額)×標準税率(1.4%)」です。
将来の固定資産税地獄を避けよう「物件評価額を見る!」ー後編
住宅を購入する際はまず、固定資産税額におおよその当たりを付けておきましょう。
土地の固定資産税評価額は「公示価格(国土交通省が1月1日に発表する1㎡あたりの標準価格)×0.7」で、ざっくりとですが計算ができます。
しかし、例えば京都市は10年前に比べると公示価格は上がりっぱなしのため、土地の固定資産評価額も高額になります。一般的数字ではなく「公示価格」を調べてざっくり計算をした方が良いでしょう。
例:京都市左京区のとある場所(2022年)
公示額=324,000(円/m²)
→ 30坪とすると324,000×約99㎡=32,076,000円
→ 32,076,000×0.7=22,453,200(固定資産評価額)
→ 22,453,200×税率1.4%=314,345(土地の固定資産税)
上記によると、土地の固定資産税だけでざっくりと約32万円かかっているのです。
そして土地の固定資産税に建物評価額から算出した固定資産税がプラスされます。建物評価額は”新築””中古””住宅性能”等が複雑に絡むため算出が難しいですが、新築の場合はおおよそ「建築費の50~60%」です。築年数によってそこから控除される形で評価額が下がっていきます。
京都市左京区の例からわかるように、住宅を購入する場合固定資産税を考えておかないと大変な事態になりかねないと言うことがわかりましたね。
住宅ローン月額だけでなく必ず”固定資産税の積み立て”も考えて、毎月の資金計画を立ててくださいね。
※上記はあくまでも固定資産税額のあたりをつけるためのざっくり計算の方法です。個々の事例で違うため、詳しく調べたい場合は税理士、土地家屋調査士等にご相談ください。
物件表の細かい字、読んでますか?「備考欄を見る!」
物件情報を見るとき、間取りや売り出し価格、交通の便や近隣商業施設など、生活に必要な情報は必ずチェックされると思います。
しかし、字が細かくなんだか小難しい項目ばかりで読みづらい右下の方、特に「備考欄」はしっかりチェックしていますか?
(右画像の赤い枠の部分)
備考欄には項目外の大変重要な情報が書かれていることが多々あります。
例えば新築物件で多いのが「外構費別途」の情報。
これは「外構(門扉や塀・フェンス、駐車場関係等)の工事は建物本体の建築費用と別途にかかる」と言う情報です。
売主・施工会社によりますがおおよそ80~100万円が費用に上乗せになるため、見落としていると住宅ローンの融資額で収まらないなどの問題が発生してしまいます。
またわかりにくい内容で言えば「私道負担」。
購入する土地の前面道路が私道(個人や法人が所有する土地の一部を道路として使用していること)の場合、その前面道路は他人の所有地のため本来勝手には使用できません。
しかし前面道路を使用できないと当然家に入れないため、「所有者の許可を得るために負担金を支払う」場合や「近隣で均等に私道の所有権を分担する」のが「私道負担」です。
私道負担は所有者や近隣とお金の絡みが生まれたり、所有権分担の場合は例えば水道管が持ち分内で破裂した場合は自費で処置しなくてはならなかったり、きちんと理解していないと大きな問題に発展しかねない重要な事柄です。
上記はごく備考欄に記載される内容のごく一部です。
”備考”は補足情報的な意味合いに感じる方もいると思いますが、不動産情報の”備考”は後々に影響する重要情報が明記されることが多いため、きっちり読み込んで不明な内容は必ず確認をしましょう。
内覧は日中に行きましたよね?「夜の周辺環境を見る!」
不動産屋に仲介してもらい内覧をするとき、複数箇所を見る事などもあり大抵が日中の明るい時間帯になると思います。
ですが、環境というのは日中と夜では雰囲気が変わることもしばしば。
日中の内覧で気に入り購入を考えるときは、必ず夜、特に遅い時間帯の観察にも行った方が良いです。
購入し居住してから周辺環境を実感し後悔してしまう体験は、実は常に上位に上がってくる失敗談なのです。
よく上がってくる環境要因の失敗談として、
●前の公園が夜たまり場になっているようでうるさい・物騒
●家の前の道路が抜け道にされているようで、夜になると車が多くなり怖い・うるさい
●駅から歩いて帰るとき通る道が、暗く人気がないため不安
●隣人が夜型なのか、宴会の騒音や音楽・TVなどの爆音が迷惑
上記のように、騒音・不安・恐怖などの安心安全な生活を脅かす原因が多くあがります。
そして失敗と感じる原因も毎日起こるわけではないため、日中も言えることですが周辺の観察は曜日や時間帯を変え複数回行った方が良いです。
分譲住宅を購入する場合はプラスして、防犯ポイントのチェックも行ってください。
と言うのも、分譲住宅は近隣が同じ規格の住宅のため、空き巣や強盗などに特徴を調べられ狙われやすい場合があります。
購入を考えている住宅の危ない箇所、例えば日中でも隣家の影になり人の目がない場所や、部屋の中が見えやすく生活パターンがよみやすい構造などは、窃盗犯にとってはチャンスになってしまいます。
これらは紙の物件情報では決してわからないことなので行動力が必要ですが、大切なご家族と資産を守るためには必ず行った方が良いポイントです。
後悔しない住宅購入のために大切なこと
家と言うのは家族がいる場所の事。そして住宅とは、家族がいる場所のための「箱」です。
大きな買い物ではありますが、本来「家」を維持するための「住宅」ですから「箱」の条件によって家族の安心安全や快適な暮らしが脅かされては何の意味も成しません。
ご家族のためになる物件を決めるには、詳細に繊細に、検討を重ね比較し、上記で説明した重要ポイントは是非押さえるようにしてください。
全てのリスク・問題を上記のみで網羅することはできませんが、少なくとも細部まで思案を広げるきっかけになると思います。
近年では中古住宅+リノベーションで住宅取得する方が増えています。ぜひ、「失敗しない住宅購入」に向けてポイントを押さえて良い住宅を見つけてください!