分譲賃貸を借りる際の注意点
公開日:2022年08月05日
分譲賃貸とは何?普通の賃貸と何が違うの?
そんな疑問はこの記事で解消してください。
何事も良い面とそうではない面があるものです。
分譲賃貸のメリットを享受するには、デメリット・リスクもしっかりと把握しておきましょう。
分譲賃貸とは
分譲賃貸のメリット
まずは分譲賃貸の「分譲」から説明しましょう。
分譲とは“分割譲渡”の略で、土地や建物を分割して売りに出されることを言います。
分譲マンションとは、マンション1棟ではなく分割した1戸あたりを取り扱うものです。
戸建の場合の分譲は、土地開発会社などが広い土地を購入し、その土地を分割して複数の住宅を建てる事を言います。
そして分譲賃貸とは、分譲されたマンションや戸建てが賃貸物件として市場に出されたものを言います。
つまり、通常の賃貸マンションは1棟まるごとオーナーの持ち物ですが、分譲賃貸マンションは1戸ごとにオーナーが違うと言う事です。
購入した分譲マンションを賃貸に出す理由としては、
・オーナーが仕事の転勤などやむを得ない理由でその物件に住むことができなくなった
・オーナーが投資用として購入し、家賃収入を得るために賃貸に出している
主にこの2つに分けられます。
このコラムでは特に、分譲マンションの賃貸出しを“分譲賃貸”として解説を進めていきます。
① 魅力的な物件が多い
一般的な分譲マンションをイメージしてみるとお分かりいただけると思いますが、分譲マンションはセキュリティ面の強固さや共用部分・外構の美しさが特徴と言えます。
また、賃貸用マンションに比べると構造がしっかりしていたり設備グレードが高かったり、高級感のある仕様になっていることが多いでしょう。
これは、購入する人はほとんどが自己の居住用として検討するため前述のような点にこだわりたい方が多く、マンションの企画・開発企業が魅力的な仕様のマンション計画を立てるのです。
そのため、一般的な賃貸マンションと比べて高級感があったり、贅沢な造りになったりします。
② 住人のマナーが良い
分譲マンションには、区分所有者で構成される「管理組合」があります。管理組合では、そのマンションのルールを定めたり共用部分の維持管理などを行います。そのため居住者はルールを守るマナーが求められるのです。
賃貸のみのマンションではほどんどの場合、住民同士のコミュニケーションはさほど無いでしょう。
しかし分譲の場合は購入して居住していますから長く住む人が大半ですし、ファミリー世帯の多い物件は特に住民同士のコミュニケーションの機会も多く、結果として住みやすい環境つくりがされるのです。
③ 耐震性・防犯性・ハイグレード設備
①と重複しますが、分譲マンションは所有者が長く居住することを前提に造られていることがほとんどであるため、賃貸マンションに比べて建物の構造や設備、サービスの充実度合いが高いでしょう。
分譲マンションでなくても建築基準法や耐震基準を守っていることは当然ですが、分譲マンションはそれらに加えてコンクリート壁を厚くして防音性や遮音性を高めていたり、横揺れや繰り返しの地震に強い免震構造を採用して、耐震性を高くしたりしているケースが多いです。
また、システムキッチンやユニットバスなどの住居内設備が建築時の最新モデルだったり、住人用に24時間ゴミ出し可能なゴミステーションや宅配ボックスなど、一般的な賃貸マンションで享受できない設備面のメリットが多いです。管理人や清掃業者によって清潔に保たれるのも魅了ですね。
更に、防犯カメラやオートロックはもちろん管理人常駐の場合も多く、セキュリティ面も安心できます。玄関の鍵も防犯性の高い物を採用していたり、エレベーターも高機能な場合があります。
分譲賃貸のデメリット
① 賃料が高めなことが多い
分譲賃貸は、オーナーがローンを組んで購入していることが多く、その場合賃料はローン返済を考えた設定になっています。つまり値引き交渉も難しい面があります。
また、そのハイクオリティさゆえに付加価値を加味して、賃料設定が高めになるケースが多いと言えます。
② 賃貸期間が期限付きの場合がある
オーナーが転勤などの一時的な期間に部屋を賃貸している場合は、賃貸契約期間に限りがある可能性が高いです。
契約期間に定めがあるものを「定期借家契約」と言い、基本的に「契約更新がなく、期間満了をもって契約が終了する」「原則として借主からは中途解約ができない」という性質を持っています。契約期間が居住希望期間と一致していれば問題はないですが、後から困ることがないように契約の種類や期間については注意しましょう。
定期借家契約の物件の中には、その性質ゆえに賃料が相場よりも低く設定されているものもあります。つまり、居住期間に納得さえできれば、賃料が比較的高いとされる分譲賃貸をお得に借りられるチャンスと考えることもできるでしょう。
③ オーナーとのトラブル
分譲賃貸物件のオーナー・特に自己の居住用に購入した場合、貸すことを前提に購入しておらず不動産知識のない場合がほとんどです。そのため無事に賃貸借契約が成立しても、認識や見解の不一致が原因で後々トラブルが発生することがあります。
例えばよくあるケースは、“退去時の原状回復”の範囲です。一般的に賃貸物件では通常使用での劣化や自然損耗の修繕はオーナー負担ですが、分譲賃貸となると不動産知識のないオーナーの認識が「借主が賃貸契約時の状態に戻すもの」と思っている場合があります。こうならない為には、契約時に原状回復の範囲をしっかり話し合って共通認識を持っておかなければなりません。
更に、“マンション管理規約”と“オーナー作成の契約書”に相違があることもあります。例えば、マンション規約は「ペット可」だが契約書では「ペット不可」だったりと言う事です。
また、設備として含まれていると思い使用していた所、オーナー個人の残置物で原状回復を求められた、などの事例もあります。賃貸借契約は契約書・重要事項説明書の内容把握が必須ですが、不動産知識がない個人オーナーとの契約はそれ以上に注意・確認が必要と言えます。
最後に
分譲賃貸はメリットが多い反面、トラブルのタネも多いことがお分かりいただけたと思います。
ただ、契約内容・重要事項説明はどちらにしても賃貸契約では重要なポイントです。
様々な条件が希望と合致しているのであれば、契約前にオーナーと詳細に認識共有するなど注意をすれば、通常の賃貸マンションよりとても満足のいく賃貸ライフを送れるのではないかと思います。
分譲賃貸は多くないですが、希望に合う物件があればぜひトライしてみてください!